■言葉が消費を生み、売り上げをもたらす



Facebookを眺めていると、綺麗なお姉様方が楽しそうに女子会をしている様子が、写真付きで流れてきます。私はそれをうらやましげに眺めながら賄のカレーを食べている今日この頃。

本当に今「女子会」が当たり前になりました。10年前にはなかった言葉です。覚えていますか、「女子会」がなかった頃を。
昔は、女性だけで夜な夜な集まり飲み歩くことに、あまり良いイメージがありませんでした。それが「女子会」という言葉の誕生により、表だって女子だけで飲みに行けるようになったのです。

「女子会」の言葉がどれだけ消費を促したのか統計データはありませんが、きっと相当な経済効果をもたらしているはずです。女子会専用のコースなどを用意しているレストランも珍しくはありません。


それにしても「女子会」という言葉は、見れば見るほど、上手くできています。「女性会」でもなければ「主婦会」でもない。「女子」と命名したことに、私はとてもセンスを感じます。40代、50代の女性でも「女子会に行く」と言った瞬間、“女子”になれるのです! あっ、失敬。
このように、マイナスイメージがあった行動を一つの言葉で払拭し、消費まで生みだす魔法が言葉にはあります。


考えてみれば、ほかにもいくつか出てきます。
たとえば「一人カラオケ」。以前は、一人でカラオケに行くことほど勇気のいる行為はありませんでした。それが、カラオケ屋が「一人カラオケ」の看板を掲げるようになり、一人でカラオケに行くのが恥ずかしくなくなりつつあります。「気兼ねなく一人で謳いたい」という顕在ニーズを満たしたサービスと言えるでしょう。

「コスプレイヤー」もそうですね。「コスチューム」に「プレイ」を足した造語を流布したことで、多くの人がコスプレを楽しめるようになりました。今では海外にまで飛び火しています。本来であれば「仮装」でいいはずです。それをあえて「コスプレ」と称したことで、一種のファッション化することに成功しました。


このように、言葉を生み出すことで、消費を促し、産業を創造することもできます。人は、知らず知らずのうちに言葉の魔法にかかり、消費をしているのです。


業界内にマイナスイメージを持つ言葉があれば、それをプラスにできないものかと、考えてみてはいかがでしょうか。