実体験を否定することは誰にもできません。
「私はこういう体験をしました」に文句は言えないのです。
そのため、実体験を伴った意見は説得力があります。
たとえば、以下の2つの意見を比べてみてください。
A「私は、医療制度には問題があると思います。そのため、見直しが必要だと思います」
B「私は、医療制度には問題があると思います。現に私は病院で医療ミスを受けました。今でもその後遺症が残っています。このようなミスを減らすためにも、医療制度の見直しが必要だと思います」
AとBでは、Bのほうが発言に重みがあります。
実体験を1つ入れるだけで、文章全体に説得力が生まれるのです。
言葉だけの表現だと、どうしても抽象的になります。
「たくさんのリンゴが並んでいた」と書けば、10個イメージする人もいれば100個イメージする人もいます。
正確に伝えるためには、数字が必要です。
「125個のリンゴがあります」と書けば、誰もが共通の数を認識できます。
数字には、他にも多くの効果があります。
「御社の電話料金を下げることができます」より「御社の電話料金を32%下げることができます」のほうが、具体的で真実味があります。
また、「1分ください」より「55秒ください」と言われたほうが印象に残ります。
限定を表示する際は、「残りわずか」より「残り1つ」のほうが緊急性が伝わります。
数字を使える場面では、数字を使ってください。
分かりやすさ、具体性、真実味、正確性、説得力、緊張感などが与えられます。
健康に関するテレビ番組は、必ずウラを取っています。
ウラとは科学的根拠です。または、専門家などのお墨付きです。
健康番組の場合は、医者がよく出演しています。
テレビを観ている視聴者も「医者が勧めている」「科学的根拠がある」と納得します。
科学的根拠は、今の時代において絶対的なものです。誰も否定できません。
できる限り、書くようにしてください。
人は、多数の意見に弱いものです。
特に日本人は弱いです。
「多数の意見=正しい(安心)」という認識があります。
皆の意見が必ずしも正しいとは限りません。
しかし、この多数の意見は大きな説得力を持ちます。
たとえば、こんな場面を見たことはありませんか?
政治家や評論家がデータやグラフを見せて「ほかの先進国では、○○という制度が導入されています。それに対して日本は、まだ導入されていません。……」
他国が導入しているからと言って、日本が導入する理由にはなりません。
しかし、「多くの国は導入しているのに日本はしていない。だから日本は遅れている。間違っている」という暗示をかけます。
お店に並ぶ行列を見ると、つい並んでしまうのも同じです。
「みんなが並んでいる=美味しいお店」と勝手に解釈するからです。
そのため、行列が行列を作ります。
広告物には「○○万人が使用」「売上NO.1」「月間ランキング1位」というコピーがよく使われています。
コピーを読んだ人は「みんなが支持しているから、いい商品だろう」と思い込みます。その結果、消費に繋がるのです。
それほど多数の意見には説得力があります。
多数の意見を述べることにより、文章に説得力を持たせられます。
私の好きな言葉を紹介します。
「会社を大きくするか小さくするかは、経営者が決めることでも会社が決めることでもない。社会が決めるのである」 これは、松下幸之助が残した言葉です。
今の言葉をどこかのサラリーマンが言ったとしても、誰にも相手にされません。当然、名言として後世にも残りません。
文章で「何を書くのか」はとても重要です。
しかし、それ以上に「誰が書いた(言った)のか」が重要なのです。
名言は、素晴らしい言葉だから名言になるのではありません。
素晴らしい人が述べた言葉だから、名言になるのです。
同じ言葉でも、誰が言ったのかによって説得力が違います。
これを逆手に取り、文章に説得力を持たせることができます。
権威のある人の言葉を借りてくるのです。
著名なあの方はこう言っています。「……」私もこれに同感です。と書けばいいのです。
読者は「あの著名な方が言っているのだから……」と納得します。
自分の言葉ではなく、他人の言葉を借りる。
それも、権威のある人の言葉を、です。
文章に説得力を持たせる簡単な方法です。
人は活字に弱いものです。
書籍に書かれていることは、信憑性の高い事実だと感じます。
「○○という書籍にはこう書かれている。……」と書くことで、説得力が増します。
それも専門書籍や著名な方が書かれた書籍であればいっそういいです。
たとえば、「○○の専門家の著書○○にはこういう一文があります。・・・・」「厚生労働省のデータではこのような数字が挙げられています」とデータを引用します。
自分で調べたものや書いたものは信憑性が疑われますが、国や公的機関の発行物であれば信用せざるをえません。
他人の文章を借りることで、自分の文章に説得力を持たせることができます。
「思います」が続く文章は、自信を感じられません。
自信のない文章には説得力がなく、読んでいても安心できません。
文章は、「思います」ではなく「です」と言い切りましょう。
言い切ることで自信が伝わり、説得力を生むのです。
「!」(ビックリマーク)を多用すると説得力を失います。
「!」が付くもので、本当にビックリするような内容が書かれていることは稀です。
大した内容ではないものを、大した内容であるように見せるために「!」を使っているからです。
「!」が1個ならまだ許せます。
ひどい場合は、「!!」、もっとひどい場合は「!!!」もあります。
もう、ビックリマークのインフレ化です。
さらに「!?」(ビックリかも)まであります。
文章を書く人が使う記号ではありません。
「!」を使うほど、文章は軽くなってしまいます。
「!」は、できるだけ使わずに表現するようにしてください。
冒頭に言い訳を書く人がいます。
「私は、こんなことを書く立場ではないのですが、どうしても書いて欲しいと勧められて書くようになった次第です」などと。
言い訳から入った文章には、説得力がありません。
言い訳は「大目にみてね」というメッセージです。
言い訳が前提にある文章を読んでも仕方がありません。
読むだけ時間の無駄です。
言い訳を書くぐらいなら、始めから書かなければいいのです。
私は書籍を買う際、プロフィールを見ます。
多くの人も同様のはずです。
出版業界では、プロフィールで売れ行きが左右される、とさえ言われています。
それほどプロフィールは重要なのです。
これは、書籍だけに限りません。
読者は誰が書いたのかを意識しています。
人は、誰が書いたのかで、書かれている内容を判断するのです。
プロフィールが魅力的であれば、内容もしっかりしていると思わせられます。
魅力的なプロフィールを作ることで、文章に説得力を持たせられるのです。
初めての相手と取引する際に、気になるのは実績です。
実績がなければ、怖くて仕事を頼めません。
その逆であれば、安心して仕事を任せられます。
そのため、実績はできるだけ載せるようにしてください。
・過去にこれだけの仕事をしてきた。
・大手の仕事を受けてきた。
・行政や政府からの仕事を受けてきた。
・有名人から注文があった。
このような実績は掲載するようにしてください。
実績は会社の財産です。
できるだけアピールするようにしましょう。
人はなぜか3という数字が好きです。
そのため、3という数字はよく使われます。
「ランキングトップ3」「3大珍味」「3大名所」「3種の神器」「3分クッキング」など。2や4が使われることはあまりありません。
2つや4つと言われるよりも、3つのほうがインパクトがあります。
私は、4つメリットがあるときでも、あえて3つにすることがあります。
2つしかないときは、3つに増やそうと努力します。
こんな感じで、3を使います。
「メリットは3つあります」
「証拠は3つあります」
「特典は3つあります」
3という数字には、論理的な説明ができない不思議な力があります。
なぜだか分かりませんが、しっくりくるのです。
人は1番に弱いです。
たとえば、
「日本で1番高い山は富士山。では2番目に高い山は?」
「日本で1番長い川は信濃川。では2番目に長いのは?」
このように聞くと、多くの人は2番目を答えられません。
1位と2位とでは、大きな差があるのです。
人を説得する際は、「1番」を使うと効果的です。
「1番人気があります」「1番売れています」「1番評価が高いです」
「1番実績があります」「社歴が1番長いです」など。
そう言われると、「1番だからいいのだろう」とつい納得してしまいます。
「1番」と書くだけで文章に説得力を与えられるのです。
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