■感動は、言葉にするほど「劣化」する


素晴らしい映画や小説に出合った時の感動を、言葉にしてみたいと思うことってありますよね。しかし、どんなに言葉を紡いでも、どんなに言葉を重ねても、その感動を100%表現することはできません。伝えることはできません。感動は、言葉にするほど「劣化」するものだからです。

「拡張子が違う」と言えば、分かりやすいでしょうか。「感動」と「言葉」は、そもそも拡張子が違うため、感動を言葉に「変換」する際、どうしても「劣化」が起きてしまうのです。

「文章力があれば防げるのではないか」と思うかもしれません。確かに、文章力があれば劣化をある程度は防げます。しかし、100%防ぐことはやはり無理です。言語領域ではない感情を無理やり言葉に嵌めるのですから、どんなに文章力があろうとも、多少の「劣化」は覚悟しなくてはいけません。

それでも言葉にしたいのは、感情を整理したい、残しておきたい、みんなにも知ってもらいたいといった動機が勝るからです。感動をどうにかして言葉に変換できた時の達成感は何とも言えません。私は好きです。

感動は言葉に変換すると劣化する。だけど、変換に伴う悦びも中々味わい深いものです。




TOPページへ戻る