強い言葉は使えば使うほど、言葉を弱くします。
「必ず成功する」「絶対儲かる」という言葉ほど、うまくいきません。
経験上、誰もが知っています。
しかし、人を説得しようとして、書き手はよく使ってしまうのです。
理由は、自信がないからです。
そして、それらの言葉に騙されるのも、自分の判断に自信が持てない人たちです。
つまり、考え抜く力がないのです。
自信のある人は、「必ず」「絶対」という言葉は使いません。
自分で考え抜く力がある人たちも、「必ず」「絶対」という言葉を信じません。
それらの言葉が持つ弱さを知っているからです。
「必ず」「絶対」類の言葉を使っているうちは、心に響く言葉を書くことはできません。
二重否定をよく目にします。
たとえば「私は自己投資をしていないわけではない」。
これは「私は自己投資している」でいいのです。
二重否定は、回りくどく、読みづらい文章になります。
使わないように心がけましょう。
「コーヒーを飲む」と「ジュースを飲む」は、述語が同じです。
その場合は、術語を一つにまとめます。
「私はコーヒーを、彼女はジュースを飲んだ」と。
「コーヒーを飲む」と「アイスクリームを食べる」は、違う述語です。
この場合は、述語を分けて文章を書きます。
「私はコーヒーを飲み、彼女はアイスクリームを食べた」と。
術語を分けるべき場面なのに、術語を分けていない文を時々見かけます。
「私はコーヒーを、彼女はアイスクリームを食べた」
これでは、コーヒーを食べたことになってしまいます。
述語をまとめるときには、気をつけるようにしましょう。
校正の段階で気をつけることの一つに、言葉の統一があります。
例文で説明します。
「従業員満足を高めることは、顧客満足を高めることに繋がります。
よい商品を提供していれば、顧客満足が高まるわけではありません。
社員の満足を高め、お客様に良い商材を提供することで、顧客満足が上がるのです」
お気づきですか?
「従業員」が「社員」へと。
「商品」が「商材」へと。
「高まる」が「上がる」へろ変わりました。
言葉は違っても似たような意味なので、意図は伝わります。
気づかない読者もほとんどでしょう。
しかし、言葉が統一されているほうが、文章としての完成度は高まります。
細部まで意識して書き、編集、校正するように心がけましょう。
あいまいな表現の言葉の代表が「的・性・化・系」です。
あえて、あいまいな表現を使うのなら良いとして、そうでなければ、使用を避けましょう。
「〜的」と書けば、表現に困りませんが、やはり手抜きの一つです。
「私的には〜」で続く文章は、すべてがあいまいに聞こえます。
手抜きをするのではなく、適切な表現を探し、書くようにしましょう。
文章は、中央揃えで書かないのが基本です。
文章が縦書きであれば上揃え、横書きであれば左揃えで書きます。
中央揃えで書かれた文章は、読みづらくて仕方がありません。
目線があちこちに移るため、読むのに疲れてしまいます。
デザインを多少勉強すれば、このような間違いはしません。
しかし、デザインの知識がない人は、中央揃えがカッコよく見えてしまい、中央揃えをしてしまいます。
読者になった気持ちで読めば、読みづらいことに気づくはずです。
「1つ目に……」の次は、「2つ目に……」とくるのが自然です。
(例)
1つ目に……
2つ目に……
3つ目に……
時々、「1つ目に……」と来た後に、「第2に……」と書かれている文章を見かけます。
校正をせず、思うがまま書いた文章は、このようになることがあります。
しっかりとチェックをすれば気づくレベルです。気をつけましょう。
気がつかないうちに、同じ意味の言葉を続けて使っていることがあります。
たとえば、「本を読んでくれる読者に感謝です」これは、「読者に感謝です」で十分です。
「早朝の6時からマラソンをする」これは、「朝の6時からマラソンをする」で十分です。
意味が重複している場合がありますので、気をつけましょう。
たとえば、
「ビタミンCは身体に良い。
そのため、ビタミンCを摂取する食事は大切だ。
ビタミンCを多く含む野菜は・・・」
この例文では、ビタミンCが3行すべてに出てきます。
同じ単語が何度も出てくると、しつこく感じることがあります。
単語の使用頻度を意識して書くようにしましょう。
文章に力が入りすぎると、読んでいて恥ずかしい文章になります。
分かりやすく言うと、イタイ文章になるのです。
私も何度も失敗してきましたし、失敗をしている人を見てきました。
カッコイイ言葉や捻りの効いた言葉を書こうとすると、イタイ文章になってしまいます。
イタイ文章を書いてしまうのは、誰もが通る道です。
大切なのは、それに気づくこと。そして、力まないコツを掴むことです。
気づくためには、2つのチェックをします。
1、多くに人に読んでもらい感想を聞くこと。
2、数か月後に再び読み直してみること。
2つのチェックをすることで、「自分はこんな恥ずかしい文章を書いていたのか」と気づけます。
気づいたら、文章を直します。
この失敗と改善をくり返すことで、力まず文章を書くコツを掴んでいくのです。